「“銀翼のヤカン”が語る戦争と平和の世界史」
[KOZA BUNKA BOX]vol.3
編集・発行:沖縄県沖縄市総務部市史編集担当
20世紀──戦中から戦後にかけて、世界中のいたるところで「異形の道具」たちが発生した。

道具はウソをつかない。道具たちは文字通りの物証=動かぬ証拠なのである。
戦争と平和を証言する道具たちのメッセージにしばし、耳を傾けようではないか。

エッセイ:村瀬春樹  写真:Tabute Murase

左:[KOZA BUNKA BOX]2号。沖縄市「市史編集担当」編集・発行の「基地の街」コザの戦後史を検証した図録本である。第3号に右のエッセイが掲載される。

表紙は、旧コザ市のAサイン・バー「ラテン酒場アルハンブラ」の営業許可証をデザイン化したもの。Aサイン・バーとは、米軍兵士やその関係者が立ち入りできたバーのことで、「Approved」の頭文字の「A」が大書されていたのでそう呼ばれるようになった。

 〈そう、「銀翼のヤカン」とは、撃墜された軍用機の銀色の翼を転用してつくられたヤカンのことなのである。

 沖縄・読谷村のナービヤー(ナベ製造工場)では、「銀翼のヤカン」の兄弟姉妹たちが続々と誕生した。ナベ、カマ、カマド、すり鉢、皿、鋺、アイロン、下駄、灰皿──そのほかありとあらゆる日用品がつくられた……〉

 近代戦では、ひとたび戦端が開かれるや、すべての国力が投入された国家間の総力戦となる。

 国内では、戦場になるならないにかかわらず、金属をはじめとするあらゆる物資が欠乏し、奇妙な「代用品」や「転用品」があらわれる。

 このエッセイ(400字×60枚)では、沖縄、日本本土、ベトナム、タイ、台湾などアジア諸国をはじめ、ヨーロッパ、アフリカを視野に入れた「道具が語る戦争と平和の世界史」である。

〈さて、今回の冊子は本市の戦後史のさらなる展開を考察、また我がマチの特有性をさらに掘り起こし、新しい沖縄戦後史観を構築していくことを目指しました〉

 〈中でも注目は「『銀翼のヤカン』が語る戦争と平和の世界史」です。戦後の沖縄で人々は自らの生活に必要な道具をそろえるため、米軍物資や各地に散在していた兵器の残骸に手を加えて創意工夫に満ちた様々な道具を生み出しました。
 しかし、そういう状況は沖縄だけでなく、戦渦を被った日本本土や海外にも存在していたことが明らかになりました。詳細は本文に譲りますが、そのことから戦争を生きのびた人々の創意と底力が沖縄だけにとどまらず、世界中に存在することに目を開かせてくれたことは大きな収穫でした〉

        [KOZA BUNKA BOX]vol-3 編集後記より