「戦争と平和を語る異形の道具たち」図録・ダイジェスト (Page 1)
 STOP THE WAR !!
Haruki Murase Collection
このコレクションは、1997~2006年の10年間に、日本本土、沖縄、ベトナム、アフリカなどの地域を対象に筆者が収集した道具類である。ここでは、沖縄県沖縄市(旧コザ市)に寄託し、[KOZA BUNKABOX]3号でとりあげた【白亜紀】と【ジュラ紀】の道具たちの一部を「図録」として紹介しよう。


● 道具の世界の【白亜紀】【ジュラ紀】とは何か?

  道具学会では、戦争遂行のために金属が不足して陶器の代用品が発生する時代を【道具の白亜紀】(本来は白堊紀と書く)と呼んでいる。白土(しらつち)製の亜種が氾濫する時代だから白亜紀だ。
 
 一方、廃棄された軍用機や兵器のジュラルミンが転用されて道具が生まれる時代を【道具のジュラ紀】と呼ぶ。日本語では「duralumin」を「ジュラルミン」と表記するのでジュラ紀だ。

 地質学のカレンダーではジュラ紀(2億1000万年前~1億4000万年前)、白亜紀(1億4000万年前~6500万年前)とつづくが、道具学のカレンダーの特徴は、白亜紀がジュラ紀より先に来ることである。

 白亜紀の道具は後にひかえた死の予兆(サイン)、ジュラ紀の道具は地上におとずれた惨劇の痕跡……いずれ劣らぬ「異形の道具」たちである。

 これらは、見た目にひょうきんな、道具の世界の道化たちだ。オブジェとしては面白くもある。だが、【白亜紀】や【ジュラ紀】の道具たちを、戦時下の人々の知恵とか底力などと美化してはなるまい。なぜなら、それらは戦争が生んだ、本来は「あってはならない道具たち」だから、である。

 異形の道具たちが語る世界史を直視しようではないか。
 そう、STOP THE WAR !! 
 この地上に、二度と道具の【白亜紀】や【ジュラ紀】が訪れることのないように。

 

3種類の「分銅」が語る【白亜紀】と【ジュラ紀】の法則



【平時の道具】
(平和な時代)
【白亜紀の道具】
(戦時)
【ジュラ紀の道具】
(戦時~戦後)
平和な時期、分銅は鉄・銅などの重金属でつくられる

本用品

鉄製分銅/明治~大正期
入手地:京都

金属が戦争に回されると土(陶器)でつくられる

代用品

陶製分銅/1938~45年
生産地:瀬戸、岐阜

焦土と化した地域ではジュラルミンでつくられる

転用品

ジュラルミン製分銅/1945~50年代
生産地:沖縄